Share

第92話 着替えと静香石

Author: 甘梨鈴
last update Last Updated: 2026-01-15 17:00:13

 しかし、その前に着替えだ。

「エマ様。こちらが、デイモンド伯より頂いたシュミーズですわ」

「ありがとう」

「どれも上質な生地を使ってますから、着心地が良いはずです」

 ナタリナから渡された包みを、ベッドの枕元においた。

 着替えの時は、ナタリナは隣の部屋に移動する。それを確認してから、エマは引き出しから木箱を取り出した。

 前に王太子にもらった静香石(せいこうせき)だ。

「これも、毎日使ってるけど……大丈夫かな?」

 魔道具とはいえ、頻繁に使用して効果が薄れたりしないだろうか。

 自分では、フェロモンが漏れてるか分からないので、ナタリナに注意してもらうよう頼むことにする。

 エマはベッドの上に座り込むと、夜着の裾をまくり上げた。

 挿入しやすいように、脚を開いて、自らの股間を覗く。

 静香石は蕾に挿れるので、エマは左手を伸ばして、入り口に触れた。

「ンッ……ぁ、っ、ぁぁんっ」

 指先で優しく撫でながら、ゆっくり指を入れる。

 濡れていない蕾を無理に開くと、痛みがあるので、エマはいつも挿入時にルシアンの手を思い出すようにしていた。

「ぁ、ぁぁっ……んぁ、ッ、ルシアンさまぁ……っ」

 昨日、王立美術館の休憩室でルシアンに愛撫されたことを思い出す。

 ルシアンの形の良い唇がエマの半身に触れ、そのまま飲み込んで、舌でなめ上げて……。

「ひぁぁっ、ぁんっ、ぁぁッ」

 思い出すだけで、ムクッと雄が勃ち上がった。

 ズクンと腰が疼き、エマは無意識に空いた手で雄を包む。

「あぁぁっ、ァァ、ッ……ルシアン、さまぁっ」

 昂ぶりを扱きながら、蕾に挿れた指を激しく動かす。

 ルシアンを想い慰めているうちに、蕾から愛液があふれる。先端からも白い蜜がこぼれて、躰が一気に熱くなった。

(ルシアン様っ、もっと、……ぁぁっ)

 記憶の中の愛撫に酔いしれながら、エマはあっけなく絶頂に達した。

「ぁ、ぁんっ、っ……ひあぁぁぁっ!」

 ビ
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる   第95話 リセリアの雪

    (社交辞令かな? でも、そう言ってもらえただけで嬉しい)  エマは、未来の約束も、甘い夢だと受け止めることにした。  ルシアンは数日後には帰国するし、今日が、ルシアンと過ごせる最後の日だから。 「エマ。私が着けて差し上げます」 「はい」  ルシアンが背中に回り、エマは髪を持ち上げた。  ネックレスを着けるときに、ルシアンの指が軽く首筋に触れる。 「んっ」  ちょっとドキドキしたけど、その高鳴りすら愛おしく感じた。  支度ができると、ルシアンがエマに顔を近づけて、そっと頬にキスをする。 「っ!?」 「今日もよろしくお願いします。私の愛しいローズ」 「っ、は、はいっ!」  エマは顔を真っ赤にして頷いた。  そんなエマとルシアンのやり取りを、ナタリナとクロエは微笑ましく眺めていた。      + + +    天耀宮を馬車で出発して、向かったのは王都の中心にある市場だ。  エマは馬車にルシアンと二人で乗り込んだが、昨日と同じようにルシアンがすぐ隣に座る。  腕が触れるので離れようとしたが、ルシアンに腰を抱かれて、密着する羽目になった。 「あ、あの、ルシアン様っ」 「どうしました?」 「あ、暑くないですか?」 「いいえ。エマは暑いですか?」 「……少し」 「窓を開けましょうか?」 「いえ! 大丈夫ですっ!」  エマはあわてて首を振った。  窓を開けたら、ルシアンと密着してる姿が丸見えになってしまう。 「では、何か心配ごとがありますか?」  エマを抱き寄せたまま、ルシアンが優しくたずねた。  顔を上げれば、ルシアンの美しい顔が見える。ルビーのような紅い瞳に、陽に透ける銀の髪。誰もが見惚れる、容姿端麗な貴公子だ。 「エマ?」 「あっ、えと……今日は、観劇をするのですよね?」

  • 神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる   第94話 二度目の変装

     あっという間に、エマの金髪が美しい薄紅(うすくれない)に変わり、腰の辺りまで髪が伸びる。 「やっぱりすごい」  効果は分かっているけど、あっという間に変わるから、魔法のようでびっくりする。  隣ではナタリナが、うっとりした顔でエマを見つめた。 「お美しいですわ。エマ様」 「ありがとう、ナタリナ」 「あら、まだ早いですわよ。お化粧をして髪を結いますから。もっと美しくなりますわ」  クロエが楽しげに笑いながら、化粧道具を手に取る。  この化粧も、魔法のようだ。  クロエに言われて目を閉じている間に、美少女が出来上がるのだから。 「お顔はこれでいいわ。髪型は、昨日と同じように半分だけ下ろすようにしましょう」 「クロエ様。それではエマ様の御髪(おぐし)がもったいないですわ」 「では、編み込みを少し変えましょう。今日は観劇をされると伺いましたので、帽子も用意しておりますの」 「あら、素敵ですわ」  クロエとナタリナが楽しそうに話すのを聞きながら、エマはされるがままだ。 (女の人って大変なんだ……)  エマも淑女教育は受けてきたが、私服は持っていないし、身を飾る装飾品もない。貴族と同格の立場でありながら、最低限の持ち物しかなかったために、流行に関しては疎かった。 (ルシアン様に頂いたネックレスだけでも、十分すぎるのに)  だけど、はしゃいでいるナタリナを見ると、いらないとは言えなかった。 「さあ、エマヌエーレ様。できましたわ」 「ありがとう」  髪を結われ、帽子を被り、姿見の前に立つ。  やわらかな若草色ドレスは、ふわりと軽やかに裾が揺れて、薄紅の髪によく似合っていた。喉元には黄色のリボンが結ばれ、頭には、丸く緩やかなカーブを描いた小さなボンネット帽。淡いミント色のリボンが、ドレスとお揃いになっている。  つばの内側には白いレースが控えめに飾られていて、春の妖精のような雰囲気だった。  鏡に映る少女は、やはり別人のように可憐で、エマはまたしても目を瞬か

  • 神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる   第93話 ランジェルの下着

    「これが、ランジェルの下着……」  手に取ってみると、もらった肌着よりも、なめらかで触り心地がいい。  両脚を通して履くようになっており、エマはドキドキしながらその下着を身につけた。 「んっ……ちょっと、きつい」  太ももまでは良かったが、秘部を覆うように履くと、どうしても半身を締めつける。  今は勃ってないけど、ちょっとでも感じたらひどく窮屈になりそうだ。女性物だから当たり前なのだが、エマは下着を着けるのが初めてで、これが普通なのかと思ってしまう。 「ぅぅ……どうしよう……」  慣れない感触が落ちつかなくて、脚をもじもじさせる。  正直に言えば、脱いでしまいたい。 (でも……ルシアン様が、楽しみにしてたし)  ルシアンをがっかりさせたくない。  エマは、そのまま法衣に着替えることにした。     + + +     支度を済ませて天耀宮へ行くと、控えの間にルシアンがやってきた。連れている従者は、前にエマに声を掛けてくれた、あの親しみやすい雰囲気の男性だ。  ルシアンも、気楽な態度でエマを出迎えた。 「おはよう、エマ」 「ぁっ! お、おはようございますっ。ルシアン様」  声が上ずってしまい、エマは頬を赤くした。  今日のルシアンは、薄いアイスブルーのロングジャケットに、同系色のベストを重ねた装いで、月の光のような銀髪によく似合っていた。  全体的に軽やかな印象で、白銀の貴公子みたいだ。 (ルシアン様。今日もカッコイイなぁ)  ルシアンを眺めてうっとりしていると、ふいに頬を撫でられた。 「エマ。昨日は、よく眠れましたか?」 「は、はいっ」 「今日は王都を何カ所か回る予定ですから、疲れたらすぐに教えて下さい」 「はい……大丈夫ですっ」  エマはルシアンを見つめて、笑みを浮かべた。 (ルシアン様と一緒にいられるなら

  • 神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる   第92話 着替えと静香石

     しかし、その前に着替えだ。 「エマ様。こちらが、デイモンド伯より頂いたシュミーズですわ」 「ありがとう」 「どれも上質な生地を使ってますから、着心地が良いはずです」  ナタリナから渡された包みを、ベッドの枕元においた。  着替えの時は、ナタリナは隣の部屋に移動する。それを確認してから、エマは引き出しから木箱を取り出した。  前に王太子にもらった静香石(せいこうせき)だ。 「これも、毎日使ってるけど……大丈夫かな?」  魔道具とはいえ、頻繁に使用して効果が薄れたりしないだろうか。  自分では、フェロモンが漏れてるか分からないので、ナタリナに注意してもらうよう頼むことにする。  エマはベッドの上に座り込むと、夜着の裾をまくり上げた。  挿入しやすいように、脚を開いて、自らの股間を覗く。  静香石は蕾に挿れるので、エマは左手を伸ばして、入り口に触れた。 「ンッ……ぁ、っ、ぁぁんっ」  指先で優しく撫でながら、ゆっくり指を入れる。  濡れていない蕾を無理に開くと、痛みがあるので、エマはいつも挿入時にルシアンの手を思い出すようにしていた。 「ぁ、ぁぁっ……んぁ、ッ、ルシアンさまぁ……っ」  昨日、王立美術館の休憩室でルシアンに愛撫されたことを思い出す。  ルシアンの形の良い唇がエマの半身に触れ、そのまま飲み込んで、舌でなめ上げて……。 「ひぁぁっ、ぁんっ、ぁぁッ」  思い出すだけで、ムクッと雄が勃ち上がった。  ズクンと腰が疼き、エマは無意識に空いた手で雄を包む。 「あぁぁっ、ァァ、ッ……ルシアン、さまぁっ」  昂ぶりを扱きながら、蕾に挿れた指を激しく動かす。  ルシアンを想い慰めているうちに、蕾から愛液があふれる。先端からも白い蜜がこぼれて、躰が一気に熱くなった。 (ルシアン様っ、もっと、……ぁぁっ)  記憶の中の愛撫に酔いしれながら、エマはあっけなく絶頂に達した。 「ぁ、ぁんっ、っ……ひあぁぁぁっ!」  ビ

  • 神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる   第91話 薄紅の色

    「どうせ黒幕は周りの奴らだ。接触すれば、証拠隠滅されるのは確実だぞ」  ティエリーが笑いながら答える。  他人事だと思って、楽しんでいるようだ。  ルシアンはティエリーを軽くにらみつけた。 「王子は放っておく。現場を確かめた方が早いだろう」  現場というのは、ワイール領のことだ。  ルシアンは、管轄する諜報部の部下を、すでにワイール領へ潜入させていた。  四日後、皇太子率いる帝国の使節団は帰国することになるが、ルシアンは密かに別行動に入り、ワイール領へ向かう予定だった。 「帰国の前夜には、晩餐会と夜会があるだろう。そこで、ノワジエール侯爵とワイール領主の動向を探っておく」 「夜会か……聖樹も参加するのだろうな?」 「おそらく」  ルシアンが頷くと、ティエリーはグラスを傾けた。  紅い瞳が細められ、探るような顔で口端を上げる。 「あの偽装薬だが、多めに持ってきたんだろう?」 「クロエに持たせてある」 「お前は心配性だから、準備がいいのは知っているが」  ティエリーはそう言って、からかうように尋ねた。 「あの薄紅(うすくれない)の色を、聖樹に使った理由は?」 「……分かっているくせに、言うな」 「お前の口から聞きたい。頑なに番を持とうとしなかったお前が、どれほどあの聖樹に入れ込んでるか、把握しておくのは当然だ」 「……」  ルシアンは、不機嫌そうに眉をしかめた。  だが、ティエリーはますます、好奇に満ちた目で返事を待っている。 「はぁ……」 「ルシアン。あの聖樹が気に入ったんだろ? ついに、抱く気になったか?」 「君に報告する義理はないが……あの子の立場を考えれば、できるわけがないだろう」 「聖樹の姿なら、だろう? それで、あの色を選んで飲ませた。違うか?」  ティエリーが笑みを浮かべて、ルシアンを見つめた。  ルシアンは眉間に皺を刻み、ため息をつく。 「私は……あれが最善だと思った」

  • 神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる   第90話 ルシアンが欲しい

     その夜、エマはナタリナに促されて、早々にベッドに入った。 「エマ様。明日も早いですから、しっかり寝て下さいね」 「うん。あ、明日も、その……変装するんだよね?」 「おそらくそうだと思います。ローズ様も、とても可愛らしかったですよ」  ナタリナが微笑むと、エマは頬を赤くした。 「に、似合ってたかな?」 「ええ。それはもう。あのように美しい令嬢は、他におりませんわ」  笑顔で褒めてくれるけど、ナタリナの場合は、ちょっと大げさなくらいに思ってた方がいい。 「……ルシアン様に、恥を掻かせたりしなかったよね?」 「もちろんです。デイモンド伯は、とても自慢気なご様子でしたわ」  にっこりと微笑まれて、エマはますます頬が赤くなる。  シーツをばさっと被って、顔を隠した。  ナタリナのひいき目もあると思うけど……たしかにルシアンは、嬉しそうな顔で褒めてくれた。 「エマ様。恥ずかしがるところではありませんよ?」 「だって……僕、ちょっと浮かれてたもん」  エマは小さく呟いた。  ルシアンが甘い言葉を囁くたびに、すごくドキドキした。  でも。 (美しいって、言ってもらえても……僕じゃ、ルシアン様の婚約者にはなれない)  結局、エマはルシアンの恋人になりたかったのだと、心の内を思い知らされた。  決して叶わない夢を、ひとときだけ叶える魔法。  それが、今日の変装だったのだ。 (ルシアン様は、僕の立場を気遣って用意してくれたのに)  ルシアンへの恋心を募らせるだけで、エマばかりが浮かれて楽しんでしまった。  王立美術館の休憩室で、ルシアンに触れられたことも、甘い思い出だ。 (ルシアン様……)  もっと、近づきたいと思っていた。  それなのに、近づいたら、もっとルシアンが欲しくなった。 (僕って、すごくワガママだよね)  今でも十分に幸せなのに、欲望には限りがない。  許されぬ恋に身を焦がしながら、叶わぬ夢

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status